シーフードスパゲティの食べ方…。
失敗談をひとつ。
シーフードという名前の付いた食べ物で、皆さんは何を思い浮かべますか?
シーフードスパゲティ、シーフードカレー、シーフードピザ…このあたりが多いでしょうか?
中にはシーフードドリアやサラダ、焼きそばの方もいらっしゃるかもw
さて、世の中に、今ほどシーフードレシピが多くなかった頃の話です。
シーフードカップヌードルも無かったと思います。
駆け出しの私が初めて東京に出張した時の事です。
東京での仕事も順調に終わり、さてホテルに帰るか、それとも…と悩んで
「せっかく東京に来たのだから、青山に行ってみよう」
どうして青山だったのかは覚えていませんが、当時の私は東京といえば青山と思っていた節があります。
まぁ、例の悪い癖が出た分けでして、そのまま地下鉄に向かったわけです。
思い出そうとしても、青山のどこの駅で降りたのかも覚えていないのですが、地上に上がると南青山と書かれて
いる標識があったことだけは鮮明に覚えています。
ですから今なら、どうしてあんな場所へ?と思うところですが、当時の私は東京駅と新宿の区別もついていない田舎者ですw
人通りは少ないのですが、東京らしくおしゃれなビルが並び、大人の町の雰囲気でした。
意を決して、一軒の洒落た本格イタリアンレストランの門をくぐります。
恋人たちが甘い言葉を囁きあうような店構えで、落ち着いた中にもハイソな華やかさを感じさせてくれる店内を案内され、センターテーブルに席を構えられました。
実際、店内では数組のカップルが、夜のひと時を囁きあっていました。
渡されたメニューの中で目に飛び込んできたシーフードスパゲティをためらわずオーダーしました。
静かな店内です。
私は最善の注意を払って、スパゲティをすする音を出さないように気を配って頂きました。
日頃、親から、物は残さず食べるように言われて育った私です。
好き嫌いもありません。味も最高です。
ただ、すする音は何とか消せたのですが、どうしても口の中から「ボリ!バリ!ボリボリ」と漏れる音が、静かな店
内にこだまするのだけはどうしようもありませんでした。
ボリッ、バリッ、バリ。
恋人たちの視線が痛い。
居たたまれず食事が終わると、すぐに退散した次第です。
「固い」の一言が感想でした。
皿を下げに来たスタッフも驚いたでしょうね。
お皿の中に貝の殻が一枚も残っていないのですから…。
シーフードスパゲティが初めての私は、中に入っていた貝類の殻まで食べてしまっていたのでした。
静かな店内に響くのは不気味な音だったでしょうね。
バリ、ボリ、バリ・・・ですから。
後年、彼女にこの話をしたら「信じられない」の一言でかたずけられました。